昭和40年代、次々に豊かさの指標が示され、それを求めて誰も熱心に駆けだしていたころ、「五月病」という言葉が、大学新入生特有の症状として使われ出した。豊かになるために、父親は猛烈社員となって会社のために働き、母親は教育ママと化し子どもの尻を叩いた。受験競争を加熱し、子ども自身の夢や目標は顧みられることはなかった。そして、晴れて大学入学を果たした若者を襲ったのが「五月病」だった。
五月の連休が明けたころから、ぼーっとした若者が大学で目につくようになったのだ。それまで親の決めたコースを必死に走ることだけが人生の目的だったまじめな学生が目標を見失い、途方に暮れてしまったのだ。
しかし、次第に大学のレジャーランド化が進み、大学生の「五月病」は消滅していった。ところが、近年、「新五月病」といわれるものが問題になり始めている。これは、大学生ではなく新入社員などに見られる。楽しい大学生活が終わり、「社会」に始めて触れた若者たちが、新しい環境になじめず、不安になるというものだ。終身雇用、年功序列が消え、一流社会も安定を誇れなくなった厳しいリストラ社会が要求しているのは、自ら考え行動できる人材である。指示を待っているだけでは誰も声をかけてくれない。人と人との関係をうまく構築できない若者には、社会の波はますます高くなっていくようだ。
「注」大学のレジャーランド化: 大学生が大学で勉強しなくなったので、それをレジャーランド(遊園地)のようだと皮肉ことば
問い「新五月病」には、どんな人がなりやすいのか。
1. 自ら考え行動できる新入社員
2. 楽しいことが好きな新入社員
3. 一流会社に入れないかった新入社員
4. 人の指示に素直に従う新入社員